Mom's Language Cafe

~ わたしの英語時間 ~

カナダの頃 (2)

若いって、おもしろい。

不器用で危なっかしくて、時にこっけいで……そしてとにかく、一生懸命で。

「これをやる!」と決めたら、迷いながらも思わず駆け出さずにはいられない、そんなエネルギーにあふれていた。

“新しい”世界、“次の”景色……。
それを追い求めたとしても、そこに明確なゴールなんて実はないんだな、と今は思う。

けれど求め続ける道の途中で、一生の宝物になるようなものに出逢うことも、また確かだと思うのです。

カナダに留学していた頃、お金はなかったけれど、その中でも工夫して心から楽しむことを学んだ気がします。

香港から来ていたクラスメイトが「明日、ハニーガーリックチキンを焼くよ!」と言えば、こちらもいそいそとポテトサラダなど作り、バスを乗り継いで、お家にごちそうになりに行ったり。

バンクーバーの中心部にあるヒルトンホテルの展望レストランでコーヒーだけ注文して、サービスで出されるプレッツェルを大切に味わいながら、何時間もねばって夕暮れの景色を楽しんだり。

街を歩きながらチョコレートをほおばって、そう言えばこういうこと、自分は日本ではできなかったなぁ、と妙に自由を感じたり。

夜遅く友だちとワインを開けたくなったけれど、ワインオープナーがないことに気づき、雪の中を探し回って、街はずれの小さな小さな酒屋さんで、やっと見つけて喜んだり。

エピソードは数知れず。

なんだか他愛ない、それも食にまつわる話ばかりですが、今振り返るとほほえましく、とてもなつかしく……
何よりも、若さを感じる(笑)。

道端に生えている草や、そのへんに転がっている石ころまで、私にとってはすべてがいとおしく思えたカナダでの日々。

間違いなく、心と身体で思いっきり感じ、毎日を大切に生きていたと思う。

静かに目を閉じて、あの頃の感覚を思い出したくなる、初秋のこの頃なのです。


f:id:mlcafe:20190906135655j:plain